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予選から2日後、蒼汰と玄樹は絢爛学園クイズ選手権の控室の前にいた。
蒼汰が扉の取っ手を握り、グッと握り込んだかと思うと回す事なく手を離す。
一つ大きく深呼吸して、またグッと取っ手を握りこむ。
そしてまた離す。
これをかれこれもう10分ほど繰り返してるのを、玄樹は後ろの壁にもたれかかりながら見ていた。
「蒼汰、もう入ろうか」
この言葉も、もう何回目になるのか。
「お、おう!入ろう!!よしっ、入るぞ」
蒼汰はまた取っ手を握る。
そーっと取っ手を回し今度こそ扉を開けようとした時、突然扉が開き、蒼汰は思いっきり額をぶつけた。
「いってーーーーー!!痛すぎる!!玄!見て!!頭!頭割れちゃった!!」
額を抑えながら涙目で玄樹に訴えるが、玄樹は至って冷静だ。
「蒼汰、割れてない。ちょっと盛り上がってるけど、血の一滴も出てない。」
冷静にそう言われると、騒いだ自分が恥ずかしくなり、咳払いをした蒼汰は部屋の扉を開けた人物と向き合った。
「相変わらずやかましいヤツだな、龍雲寺」
もうお馴染みの冷たい声。
「おぉ!せーとかいちょーじゃん……って、何かやつれてない?」
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