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両腕を体の前で組み、相変わらず人を見下すように見る御前崎だったが、少し見ない間に頬がげっそりとコケているようだ。
「ふんっ!お前らはずいぶんご機嫌に焦げたな」
オーストラリアの強烈な日差しの元に駆け回っていた蒼汰達は、確かに日焼けでこんがりと焼けていた。
「まあね!いやあ、オーストラリアはさすがに日差しが強くてさー。」
蒼汰ののんきな声に、御前崎はギリギリと奥歯を噛みしめた。
「御前崎の予選はどこだったんだ?」
何気なく聞いた玄樹は、御前崎の怒りに更に水を注いでしまったようだ。
「逢武神、お前のお友達の虎之門によーく言っておくんだな!俺はあんな子供だましのトリックなんかぜんっぜん怖くなかったってな!!」
玄樹に顔を近づけて力説した御前崎は、そのまま部屋を出るとどこかへ行ってしまった。
「あいつ、どうしたんだ?」
蒼汰と玄樹は顔を見合わせて首をかしげると、部屋の中へ足を踏み入れた。
「あれ……?なんだ、誰もいないじゃん」
広い室内にはテーブルとイスが置いてあり、テーブルの上には色々なお茶やお菓子が置いてある。
二人はとりあえず、入ってくる人がすぐ確認できるように、部屋の扉と向かい合わせになるように座った。
まるで就活の面接官である。
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