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「玄、何か食べる?」
テーブルの上にあるお菓子を手に取りながら玄樹に言うけれど、玄樹はふるふると首を横に振った。
「いや。それより、何で誰もいないんだろう」
はっきりとは言わないけれど、二人とも柚李と朱音のことが気になっていて落ち着かない。
しばらくそこで待っていると、不意に足音が聞こえてきた。
「朱音達かな。いや、足音は一人分だな」
蒼汰と玄樹は立ち上がって、なんとなく扉の方へ近づいた。
小走りなのかスキップで近づいているのか、軽やかな足音が大きくなってきた。
入口をじっと見守る中、バンッと勢いよく扉が開いて白蓮が飛び込んできた。
「蒼ちゃーーーん!玄ちゃーーーん!会いたかったよおおおおお!!」
入るなり飛びついてきた白蓮を、二人は受け止める。
「白!危ないだろ!!」
ガッチリと受け止めたものの依然として全身で喜びを表現してくる白蓮に、二人は呆れながらも笑顔を絶やさなかった。
「あー、何か、いつもの白だな」
たった何日か会わなかっただけなのに、すごく久しぶりのような気分だ。
「いつもの白だよー!二人とも、お帰り!!」
一旦は体を離して二人の顔を見た白蓮は、そう言うとまた二人に抱きついた。
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