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「あ……うん。じゃあ、そうさせてもらおうかな」
少し照れたように話す千尋は、男らしさはありながらも、どこか可愛らしく見えた。
「それで、えっと……」
千尋は、手のひらを上に向けて蒼汰に差し出す。
「あ、俺?俺は龍雲寺蒼汰。『蒼汰』でいいよ。」
一方的なライバル意識はどこへ行ったのか、蒼汰は思わず千尋に満面の笑みを向けた。
「……えっと、……蒼汰……達は、予選どこだったの?」
「俺と玄樹はオーストラリアで羊と格闘。朱音と柚……ジョディーはイタリア。もう一組はイギリスだったみたいよ」
蒼汰が一人一人を手のひらで示しながら話をする。
「千尋達はアメリカだったんだって?」
玄樹が千尋に話しかけると、千尋は体ごと玄樹の方に向けた。
「そう!初めてのアメリカで、初めてのスカイダイビングで……もう楽しくて楽しくて!」
その時のことを思い出したのか、千尋もペアの子も気分が高揚した様子だ。
「ジョディー達は?イタリアどうだったの?」
突然千尋の視線を無防備に受けた柚李は、イスがガタンと音がなるほどに体を飛び上がらせた。
カーッと顔を赤らめた柚李を見た朱音が、柚李の脇腹をツンツンとつつくと、柚李はまた我に返る。
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