1.告る!羽曳野 柚李

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相変わらず「う~う~」とうなりながら、柚李の目からは涙が止まらない。 「好きなんでしょ。千尋先輩のこと」 止まらない涙を拭うことを諦めて、鞠乃は柚李の背中を優しくなでる。 「好き。好きだけど、でも私なんかどうせ相手にしてもらえない。何の取り柄もないし、誰よりも目立たないし。あの集団の中にすら入れない」 柚李が憧れる大好きな先輩。 サッカー部のキャプテンで学校の生徒会長。 頭だって学校一いい。 誰にでも優しくて、誰にでも気さくに話しかけてくれる。 当然のようにモテるし、老若男女問わずみんなの人気者。 それが須賀谷(すがや) 千尋(ちひろ)という人だ。 また垂れてきた鼻水を気にすることもなく、柚李はひたすら千尋先輩を見続けている。 「誰よりも目立たないって……」 また始まった……、と、ため息をつきながら鞠乃は柚李の両手を握って、目を合わせる。 「もう何回も言うけど」 遠くの千尋先輩を見続けていたせいか、急に目の前に現れた鞠乃の顔になかなか焦点が合わない。 「柚李はどんなスーパーモデルよりも、どんな女優さんよりも美人だよ。はっきり言って誰よりも目立ってるし、もっと堂々としてたら、今頃スクリーンやテレビや雑誌の中の人になってるよ」
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