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 生まれ年のワインを送った女性は、婚活サービスで紹介してもらい、3ヶ月ほどお付き合いをした。彼女の誕生日に合わせて、宅配でワインを送り、その日を境に連絡が取れなくなった。  その次は、食事では赤ワインを頼む女性だった。洋食ばかりで飽きてしまい、寿司屋にも連れていったのだが、ある日デートをすっぽかされ、こちらから粘る気になれなかった。    婚活サービスで知り合った3人目の女性は、高坂モカさん、という。  趣味の欄にワインの飲み比べ、と書くほどのワイン好き。  現在36歳。  小柄で少しふくよかだけど、持病なし、性格温厚。  チンチラみたいに平坦な顔も愛嬌がある。  加えて、礼儀正しく、飲食も必ず千円だけでも払いたがった。  仕事を早めに切り上げて、予約したイタリアンの店へ。  一応、新品のシャツを着ていった。  先に席についていた彼女は俺が来たのに気づくとスマホをバッグにしまった。彼女は食事の写真を撮らない大和撫子でもあるのだ。  遅刻を詫びて、 「よさそうな店ですね」  と話しかける。 「はい。魚介類のメニューが豊富ですよ」  魚介。ならば白。白で甘すぎない方が……ワインリストを睨んでいるとモカさんが     
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