Move forward

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 三歳になる娘を連れて、公園へ来ている。 再婚した妻に家を追い出されたのだ。 掃除で邪魔だから、娘を連れて外で暇をつぶしてきてと。 まったく、ひどい言い草である。  砂場でお団子を作っている娘をぼんやり眺めている。 人間は成長するのがはやいなぁと、そんなことを考えていた。  やがて娘がお団子をもって僕の元へやってきた。 「はい! どうぞお父さん!」  ……食べろ、ということであろうか。  お団子を持ったまま、どうしようか考えていると。 『頑張って! お父さん!』  声が  聞こえた。  振り返るが誰もいない。そもそも近くには僕と娘以外誰もいなかったはずだ。 「……そうだな。頑張らないと」  僕は覚悟を決めてお団子をかじった。  娘が笑った。僕も苦笑いをした。  僕は  前へ  進んでいる。
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