第二章 薄明光線

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 柚希は聡明の目も見ずに答えた。聡明はドキリとする。数年前、ある男性が『奥さんの様子が急におかしくなった』と言って、母親に相談に来たことがあった。そして後日、お祓いをしに来た時に、聡明はたまたま神社で居合わせた。 そして、その具合の悪そうな女性が通り過ぎた時に、聡明も同じように感じたからだ。そして後から、母親が動物霊だったと言っていたのを思い出してゾクリとしたのだった。黙り込んだ聡明に柚希は続けて訴えた。 「それに、少しララが鳴いただけなのに『うるさい!』って怒鳴ったり・・・」 「え?おじさんが?」  聡明は自分の予感が当たっているような気がした。 「うん・・・それに昨日、ララが吐いちゃってて・・・誰も気が付かなくて、パパ踏んじゃって・・・」 「ありゃ・・・笑」  つい笑った聡明だったが、柚希はまた涙を浮かべる。   「それが笑えないの・・・パパが暴れて洗濯機を・・・」 「えっ!?」 「ボコボコに・・・蹴った・・・」 「おじさんが!?」  いつもの柚希の父親なら、笑い事で済んでいるはずだと聡明は思った。と同時に自分の考えが確信に変わる。一方、柚希はため息混じりに頷いた。 「それからママが・・・ララを部屋から出さないようにしてって」 「なるほど・・・」 「昨日は、だから怖くて・・・。朝早くにパパ仕事に行ったから、聡明に相談しようと思って、すぐここに来て待ってた・・・」     
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