第二章 薄明光線

10/10

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
 聡明は嬉しそうに笑った。そして、ポンポンと柚希の頭を撫でると立ち上がる。 「もしかしたら、わかるかもしれない」 「え!?何が?!」  柚希は涙を浮かべたまま、聡明を見上げた。聡明は少し得意げに笑っている。 「その原因」  聡明は柚希に手を出した。 「おいで」  柚希はその手に自分の手を乗せると、聡明が引っ張って柚希を立たせた。 「とにかく、今日は学校に行って、帰ったらにしよ」  その言葉の意味を理解しないまま柚希は頷いた。 「うん。そしたら、うちに来て」  聡明は自宅がある神社を親指で合図する。 「わかった」  結局、柚希には聡明が考えていることは全く分からないのだが、何か手立てがありそうだと少し嬉しくなった。そして、それを信じてみようとも思っていた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加