第三章 雷鳴

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第三章 雷鳴

 帰宅した柚希は洗面所で手を洗って、二階にカバンを置きに部屋に入った。いつものように出窓にいたララが、立ち上がって伸びをする。 「にゃ~ん」  いつもの可愛らしい声でひと鳴きすると、飛び降りた。いつものように足元にすり寄って来るつもりだったのだろう。しかし、飛び降りたララはそのまま横に倒れると、動かなくなった。慌てて柚希はララの元に駆け寄った。抱き上げてみるが、ララはぐったりとして身体に力も入っていない。 「ララ!?どうしたの!?ララ!?」  悲鳴に近い声で柚希はララを呼んだ。心臓は微かに動いているものの、瞳孔がゆっくりと開いていく。 「どうして!?ララ!?行かないで!!!いや~~~~~~っ!!!!!!」  柚希の声が家中に響き渡った。ちょうど帰宅した母親が慌てて二階に駆け上がって来た。ぐったりとしたララを見て、側に来て座り込む。 「ララ・・・!?」 「ママ!病院!」  柚希がハッとして立ち上がろうとしたが、母親がそれを制した。 「ララちゃんは・・・もう行っちゃったんだよ」 「どうして?この間、少し吐いただけで具合も悪そうじゃなかったじゃん!」 「そうだね・・・」 「まだ大丈夫だよ!」 「柚希・・・」     
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