2人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
「早く車出して!ララ、病院に連れて行く!!!」
母親は膝立ちして、ララを抱きかかえる柚希を抱きしめた。
「ララの人生は終わったんだよ。見送ってあげないとね」
「ララ・・・」
泣き崩れる柚希を、母親は落ち着くまで抱きしめて撫でていた。ララは柚希の腕の中で眠るように横たわっている。
「晄明くんの家に相談してみようか・・・?」
しばらく柚希を抱きしめていた母親が静かに言った。柚希は顔を上げて母親を見上げる。
「コウのとこに?」
「そう・・・前にね、ペットも家族だから一緒に眠りたいっていう人が増えてて、そういう相談も多いって言ってたのよ」
柚希はぼんやりと母親の話を聞いていた。
「だから火葬のことも知っているかもしれないから聞いてみるね」
そう母親が言うと、柚希はゆっくり頷いた。
「じゃあママ、連絡してくるね」
柚希が頷いたのを確認すると、母親は階段を下りて行った。柚希のカバンからラインを知らせる音がする。カバンをまさぐり、柚希はスマホを取り出した。
『柚希、まだ?』
ラインの向こうに聡明の顔が浮かんだ。帰宅した聡明が柚希がなかなか来ない事を心配してのことだった。
『ララが逝っちゃった』
『!?』
『急に動かなくなった』
『死んだの?』
最初のコメントを投稿しよう!