第三章 雷鳴

2/7

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
「早く車出して!ララ、病院に連れて行く!!!」  母親は膝立ちして、ララを抱きかかえる柚希を抱きしめた。 「ララの人生は終わったんだよ。見送ってあげないとね」 「ララ・・・」  泣き崩れる柚希を、母親は落ち着くまで抱きしめて撫でていた。ララは柚希の腕の中で眠るように横たわっている。 「晄明くんの家に相談してみようか・・・?」  しばらく柚希を抱きしめていた母親が静かに言った。柚希は顔を上げて母親を見上げる。 「コウのとこに?」 「そう・・・前にね、ペットも家族だから一緒に眠りたいっていう人が増えてて、そういう相談も多いって言ってたのよ」  柚希はぼんやりと母親の話を聞いていた。 「だから火葬のことも知っているかもしれないから聞いてみるね」  そう母親が言うと、柚希はゆっくり頷いた。 「じゃあママ、連絡してくるね」  柚希が頷いたのを確認すると、母親は階段を下りて行った。柚希のカバンからラインを知らせる音がする。カバンをまさぐり、柚希はスマホを取り出した。 『柚希、まだ?』  ラインの向こうに聡明の顔が浮かんだ。帰宅した聡明が柚希がなかなか来ない事を心配してのことだった。 『ララが逝っちゃった』 『!?』 『急に動かなくなった』 『死んだの?』     
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加