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柚希は、聡明にすぐヤキモチを焼く晄明に呆れた。幼い時からこういうところは、さっぱり変わっていない。そんな晄明を無視して柚希は続けた。
「なんかね・・・パパ、急に怖くなったの」
「怖い?」
晄明の拗ねた顔が真顔に変わった。柚希はまた小声で話し出す。
「怒鳴ったり、物を壊したりして」
「あのおじさんが・・・!?」
「うん・・・それでソウに相談したら、境内においでって」
その言葉に、晄明は面白くなさそうに鼻を膨らませて
「ふ~ん」
とだけ言って、腕を胸の前で組んだ。柚希は、晄明のそんな様子も無視して続ける。
「その原因がわかるかもしれないって、ソウが」
「原因?」
「なんかね、パパが『獣臭くなった』って言ったら、そう言われたの」
晄明もその言葉にゾクリとして腕を解いた。そして父親が昔、話していたことを思い出す。
「あら、コウちゃん!」
後ろから柚希の母親が、二人を見つけて声をかけた。晄明はパッと離れて軽く頭を下げる。
「ども・・・」
柚希の母親は目尻を下げながら、二人の元に歩み寄った。
「お世話になりました」
晄明に対する柚希の母親の言葉に、晄明は2ブロックに刈り上げた髪を触って下を向いた。
「いえ・・・俺は別に・・・」
「柚希、しばらくは落ち込んでるだろうから、気にしてあげて」
そう言って母親はニヤリと笑うのを、柚希は怒って制す。
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