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柚希は理解も出来ないでいたが、二人は目を閉じて静かに呼吸をし始めた。
「ソウ、何が見える?」
「・・・女の人?」
聡明は眉間にシワを寄せた。宮司は首を横に傾げた。
「だね。でもなんか、おかしくないかい?」
聡明は頷いて、また黙り込んだ。柚希は何が見えているのかわからずに、二人をただ見つめている。
「あ、母さん。見つけた。尻尾が見える」
「抜いてごらん」
「はい・・・」
そう言って、手をグッと握っていた聡明が力を抜くと、スッと目を開けた。
「抜きました。逃げたよ」
「また戻るね」
二人で交わす会話が、やはり飲み込めない柚希は尋ねた。
「あの・・・どういうことでしょう?」
聡明は穏やかに柚希を見ると、宮司が聡明を促した。
「ソウが話してあげなさい」
柚希は聡明の目を食い入るように見つめた。
「あ、うん。柚希のパパを見てみるとね」
「あの、違う目とやらで?」
益々、柚希に注視された聡明は少々引き気味で頷いた。
「そう。女の人が柚希のお父さんと重なってるというか、入り込まれてる状態だったんだ」
「え~?!」
聡明の口振りは穏やかではあったのだが、柚希は心底驚いていた。しかし聡明は淡々と説明を続ける。
「それが女の人かと思ったんだけど、違ったんだ」
「何?!」
「子狐だったよ」
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