第四章 彩雲

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 柚希は理解も出来ないでいたが、二人は目を閉じて静かに呼吸をし始めた。 「ソウ、何が見える?」 「・・・女の人?」  聡明は眉間にシワを寄せた。宮司は首を横に傾げた。 「だね。でもなんか、おかしくないかい?」  聡明は頷いて、また黙り込んだ。柚希は何が見えているのかわからずに、二人をただ見つめている。 「あ、母さん。見つけた。尻尾が見える」 「抜いてごらん」 「はい・・・」  そう言って、手をグッと握っていた聡明が力を抜くと、スッと目を開けた。 「抜きました。逃げたよ」 「また戻るね」  二人で交わす会話が、やはり飲み込めない柚希は尋ねた。 「あの・・・どういうことでしょう?」  聡明は穏やかに柚希を見ると、宮司が聡明を促した。 「ソウが話してあげなさい」  柚希は聡明の目を食い入るように見つめた。 「あ、うん。柚希のパパを見てみるとね」 「あの、違う目とやらで?」  益々、柚希に注視された聡明は少々引き気味で頷いた。   「そう。女の人が柚希のお父さんと重なってるというか、入り込まれてる状態だったんだ」 「え~?!」  聡明の口振りは穏やかではあったのだが、柚希は心底驚いていた。しかし聡明は淡々と説明を続ける。 「それが女の人かと思ったんだけど、違ったんだ」 「何?!」 「子狐だったよ」     
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