第四章 彩雲

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第四章 彩雲

 境内の中で繰り返し波のようなものが、柚希を包んでいた。日にちを改めて聡明から神社に来るように言われたのだ。 「・・・ここって、気持ちいいね」  聡明は少し驚いたような顔をしたが、フワッと目尻を下げた。 「柚希もわかるんだね」 「うん・・・なんか洗われてるみたい」 「あぁ、そうかも」  二人で目を瞑ってその揺らぎを感じていると、聡明の母親が境内に入ってきた。 「お待たせ」 「すみません、忙しいのに・・・」  柚希は立ち上がって、聡明の母親に一礼した。 「何言ってんの!さて、始めようか」  家族のご祈祷を終えたばかりの聡明の母親が、山葵色の袴をサッサッと音を立てながら祭壇の前に歩み寄る。 「母さん、俺も試してみたい」 「いいんじゃない?」  柚希はまた椅子に腰を下ろすと、二人のやり取りを見つめた。 「ところで、何をするんですか?」  この状況になっても、柚希は何をするのか聡明から何も言われていなかった。 「柚希のパパを違う目で見てみるんだよ」 「違う目?」  聡明の母親の宮司は、二礼二拍手一礼すると、何やら唱えてから柚希と聡明の前に座る。 「そうよ。うちは代々、神様に遣えてきたから、ちょっと違う物も見えるのよ」 「はぁ・・・」     
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