第五章 雨柱

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第五章 雨柱

 お祓いを終えた柚希の父親は、日に日に明るさを取り戻していった。柚希が一番驚いたのは、両親に聡明の母親から言われたように『厄払い』の話をすると二つ返事でお祓いに向かったことだ。二人とも何かしらの違和感は感じていたのかもしれない。それに、数日後には自覚があったようで 「なんだか、体が軽くなったんだ」 と父親が言っており、柚希はその反応にも心底驚いていた。聡明の母親や聡明を信じていなかったわけではない。しかし明確な反応は、正直あまりないのではと考えていたからだ。だから、柚希は心からホッとしていた。しかしそれに反して、今度は柚希の体調に異変が起き始めていた。最初はなんとなくだるいような気がしていたのだが、次第に体が重くなっていった。頭は特に重く、頭は痛みも伴っていて日に日に、そのしんどさが増している。 そしてある日の朝、いつものように柚希は写真のララにおはようを言おうと思ったのだが、とにかく頭が痛くて、重くて起き上がるにも起き上がれない。 「ララ、おはよう・・・」 柚希はベッドからララに声をかけた。しばらくすると起きてこない娘を心配して、母親が部屋を覗きに来た。 「どうしたの?」     
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