9.終結

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 ハギが庭で洗濯物を干していると、デスモディウムが前と同じ場所に立っていたので驚いた。 「デスモディウム! どうしたの?」  あの日のことを思い出し、なんとなく、懐かしい気がした。 「黙って姿を消したから、心配で捜しに来た。元気そうで安心したよ」 「ごめん。私は大丈夫だから」 「オリとの婚約は白紙になったんだって?」 「うん。寝たきりになったみたい」 「そうか……」 「デスモディウム……」  何か言いたそうなので、ハギは黙って待った。 「君に結婚を申し込んでも大丈夫かな?」 「結婚!?」  ハギはビックリした。 「え? 本気? バイガルドが言っていたでしょ? 私は墓泥棒の娘よ。デスモディウムとは釣り合わないから、結婚なんて無理」  拒否するハギに、デスモディウムは優しく微笑んだ。 「そんなことはない。ハギ、君は勇気のある素敵な人だ」 「デスモディウム……」  デスモディウムは、ハギの手を取った。 「ハギ、私と結婚してください」  思いがけないプロポーズに、ハギは泣き出した。 「こんな私で良かったら……」  デスモディウムは、輝く黄金の指輪を取り出して、ハギの左手の薬指にはめた。 「とてもよく似合う。この細い手で戦った、君は美しい」 「デスモディウム!」  ハギはデスモディウムの胸に飛び込んだ。  黄金の鍵から始まった、ハギの冒険譚はここに終決。  ヌスビトハギは、凛々しく雄々しく美しく、今日も荒野に咲き乱れる。                                 終わり。
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