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「……」
お互いに、ここが正念場だとわかっている。
「わかった。若いのにしっかりしているな」
先に老店主が折れた。
老店主は、最後まで自分の短剣に手を掛けなかった。
これは、ウソを認めたということだ。
ハギは短剣から手を離した。
「少年、名前はなんという?」
「ハギ」
名前を聞いたということは、一人前と認めたということになる。
「ハギ、5000ギンでどうだ」
「5000ギン……」
5000ギンは大きな家が一軒買えるほどの金額。
偽物ではなかった。
純金と希少な赤い宝石で作られた本物ということになるが、それにしても高い。
ハギは、あまりの大金で逆に怖くなった。
平気な振りをしたが、内心では心臓が口から飛び出そうなほど高鳴った。
「まだ、不満か? 悪いが、これ以上は無理だ。これが今の相場だ」
「一旦、考えさせてくれ」
結局、売らずに店を出た。
ハギが出ていくと、老店主は奥の男に目配せした。
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