1.墓泥棒の娘

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 特官は、あらゆる組織に潜入すると聞かされたことがある。  少年のような特官がいても変ではないのかもしれない。  ハギは懐の黄金の鍵を確認しようと、服の上からさりげなく握りしめた。  その固さにホッとしたが、まだ安心できない。  目の前の特官に悟られる前に、ここから離れなければならない。  必要以上に丁寧なお辞儀をした。 「あの……、助けてくれてありがとうございました!」 「一体、何があったんだ?」 「最初は道案内を頼まれたんですが、強盗だったんです。財布を出せ。出さないと殺すと脅されました」  揉め事の真の理由について知られたくなくて、さっきのでまかせに合わせた。 「あの……、自分も危険になるのに、どうして助けてくれたんですか?」 「か弱い女の子が襲われているというのに、男として見逃せないだろ」 「え?」  パッと、特官の顔を見た。 (なんでバレた?)という顔だったので、特官はクスっと笑った。  その笑顔は、怖い特官のイメージからかけ離れた可愛いものだった。  しかし、いろいろと都合の悪いハギは嘘を吐き通さなければならない。 「よく女の子に間違えられますが、俺は男です」 「ハハハ……。それは失礼した」  肩が笑っている。 (絶対信じていないだろ!)  甘く見られているのだ。  あの状況で女だと見抜いたということに驚いた。  観察眼が良いのか。
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