1.墓泥棒の娘

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 ハギは、逃げるように家に向かった。  膝が震えて力が出ない。よろけながらも必死に歩いた。  途中で、空っぽの鞘を川に投げ捨てたが、近くの人がすぐに飛び込み拾いに行く姿が見えた。  顔を見られたくないハギは、その後を見届ける前にさっさとその場を立ち去った。  頭の中は、さっきのことで一杯だ。  黄金の鍵の紋章は宝石でアレンジされていたが、特官の紋章と同じだった。  王直属なのだから特官の紋章と王族の紋章は同じはず。  つまり、これは王家に関係する鍵なのだ。  王家のものなら特官が探していてもおかしくない。  さっきの老店主も、この紋章に気づかぬはずがない。  それを知っていたからこそ、鍵一つに破格の金額をつけたのではないか。  しかも、そのことを黙っていた。  ハギが知ったら、さらに吹っ掛けられると警戒したのだろう。  あの男たちは、出てくるタイミングが良すぎた。  ハギが売らなかったので、老店主が強硬手段に出たのかもしれない。  自分のような子どもを殺しても奪いたかった黄金の鍵。 (恐ろしい……)  これはきっと、ハギが持っていてはいけない恐ろしい鍵なのだ。
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