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ある世界に、アラリド王国という王政国家があった。
気候は高温で湿度が低い乾燥地帯。
砂漠が大部分を占め、風が吹けば砂が舞う。
高温と直射日光から身を守るため、人々は全身を覆う民族衣装を着ていることが多い。
男でも女でも頭にスカーフを巻き、日に焼けない様、首の後ろまで長く布を垂らしている。
腰に巻いた帯に短剣を差すのが、アラリドの男たちのおしゃれ。
女性も同じような服装だが、無地の男たちに対して、花の刺繍などを施したカラフルで女性らしい装束が多い。
庶民の平均所得は、あまり高くない。
一部の権力者に富が集まる構造となっていて、庶民に不満はあれども、それなりに暮らしている。
アラリド王国の首都サナイの旧市街地は、レンガで作られた赤茶色の建物が立ち並んでおり、市場や商店も多くて暮らしやすいため、人口が集まっている。
そこに、一人の少女が住んでいた。
名をハギといい、現在16歳。
ハギの一族は代々盗賊を生業としている。
その中でも、ハギの一家は墓泥棒を得意としていた。
金持ちが埋葬されたと聞きつけると、墓を掘り返し、埋葬品を盗んでは市場で売っていた。
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