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「ウー、ウウウ……」
「ハギ……」
デスモディウムは、嗚咽するハギの肩に手を乗せた。
「バイガルドを撃て」
「え……」
「大切な父親を殺され、さらに尊厳を踏みにじられた。君には正当な理由がある」
「でも……」
二人が話している隙に、バイガルドが拳銃を取り出し二人に向けた。
「危ない!」
気づいたハギが、思わず引き金を引く。
――バン!
ハギの弾がバイガルドを撃ち抜いた。
バイガルドは撃ち返すことなく床に倒れ、大量の血を流して息絶えた。
バイガルドを倒しても、なお悲しむハギをデスモディウムは抱きしめる。
「ハギ、よくやった。君はフーシの仇を取ったんだ」
「デスモディウム……、私……、私……」
達成感なんてない。ただ、ただ、悲しくて涙が止まらない。
デスモディウムが慰めていると、コルトがやってきた。
「おっと、お取込み中だったか」
二人を見て躊躇っている。
デスモディウムはハギから離れて特官の顔になった。
「コルト少尉。報告か」
コルトは、デスモディウムに敬礼した。
「デスモディウム中佐、報告です。フォレストをすべて拘束しました」
「よくやった!」
コルトは、バイガルドの死体を見た。
「こいつが、フォレストのボスですか」
「そうだ。マシトとともに、フォレストを牛耳っていた黒幕。マシトの身柄はどうした?」
「城内にいたところを、確保しています」
「わかった。面会しよう」
忙しいデスモディウムは、急いで出て行った。
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