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年齢が違いすぎるからだろうか。
ハギは、まだ男の人を好きになったことはない。
祭りの日に、吟遊詩人はセレナーデを奏でながら切ない詩を歌い、俳優たちは舞台の上で悲恋物語を演じる。それらを見ても感動しない。
エンモに言わせれば、『まだ子ども』なのだろう。
家族も立場も捨てて駆け落ちする話が近くで起きれば、近所のおばさんたちの井戸端会議が盛り上がる。
大人の女たちは、そういう話が大好きなのだろう。
正直言って、それらが理解できない。
他人の墓を暴く仕事をしている自分には、変わった生死観が育ってしまったのだろう。
遺体を見すぎているのかもしれない。
愛とか恋とか無縁の世界に自分はいると、いつも思っていた。
エンモは、ハギとは逆で、『あの人、素敵!』と、すぐに恋する女だ。
離婚した元夫だって、『あの人じゃなきゃ死んでやる!』と、散々騒いで結婚した。
それがあっさりと別れてしまった。
どうやら、エンモの我がままに夫が付き合いきれなくなったらしい。
……らしいというのは、その話を第三夫人である自分の母親から聞いただけだから。
我がままで結婚したその挙句、スピード離婚。
そして、『オリだったら離婚しなかったわ』などとうそぶいている。
『ダミシュを見るたびにげんなりするわ。これがオリだったら……って、いつも思うのよ』と、ハギに向かって言ったこともある。
一緒にいると、いちいち聞かされてうんざりする。
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