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二人の関係を進めようとしているオリに、ハギは思わず緊張する。
「ハギはまだ16だから、早いかな……」
フーシの歯切れが悪い。
幸いにも、あまり乗り気でないようだ。
「どうする? ハギ」
そのまま、ハギに聞いてきた。
ハギの意思を確認するなんて明日は嵐じゃないかと吃驚したが、きっとこれは自分が悪者にならないようにしているのだ。
つまり、ここは断れってことだとハギは判断した。
「オリ……。ごめんなさい……」
しおらしく断った。
「そうか。まだ早かったな」
残念がりながらも、おとなしく引き下がってくれたのでホッとした。
皆で帰るオリを見送った。
オリの後ろ姿を、エンモが名残惜しそうに見送っている。
「はあー、終わった」
ハギは、全身の凝りをほぐしつつ、さっさと奥に引っ込んだ。
皿を片付けていると、エンモが戻ってきて目の前で深いため息をついた。
「ハアー」
わざとらしくて付き合っていられない。
「ハアー」
しつこいなあとイライラしていると、エンモが急に叫んだ。
「いいことを思いついた!」
エンモの思いつきは、いつだってトラブルの元になるだけ。
ハギは、嫌な予感がした。
「私が第一夫人で、ハギが第二夫人になればいいのよ!」
「は? どういうこと?」
「いいアイデア。フーシに言ってみよう」
エンモの中ではすっかり決定しているようだが、ハギに意義あり。
「ちょっと、待って!」
ハギは婚姻の順番なんてどうでもいいが、それは赤の他人の場合。
エンモとなると、話は別だ。
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