53人が本棚に入れています
本棚に追加
/252ページ
◇
ハギは、生みの母である第三夫人の買い物に付き合って、町のショッピングモールまで出掛けた。
久しぶりの母との外出は、楽しくてとても気晴らしになる。
フードコートで食事をとりながら雑談した。
「オリとはうまくやっていけそう?」
母親らしく、娘の嫁ぎ後を案じている。
「よく、わかんない」
実際に、オリの本当の人柄など、今の状況でわかりようがない。
冷たいのか、優しいのか、さっぱりしているのか、しつこいのか、乱暴なのか、女々しいのか。
何も、わからない。
オリがいい人だったとしても、舅や姑からどのように扱われるかもわからない。
「可愛がられる嫁になるのよ」
本当は結婚したくないのだから、どうすれば可愛がられる嫁になるかなんて、考えたこともない。
結婚したくないなどと言ったら、母も心配するだろう。だから、決して口にしない。
それより、今、考えていることは、黄金の鍵のこと。
それをどうするか。
もし5000ギンが手に入ったら、外国へ逃げるのもいいかもしれない。
しかし、それは目の前の母との別れでもある。
最初のコメントを投稿しよう!