2.特官デスモディウム

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「ハギ」  第五夫人がやってきて、家事を頼まれた。 「洗濯物を取り込んできてくれないかしら」 「はーい」  第五夫人は、頼みやすいハギに何でも言いつけてくる。  裏庭に出て、大量の服やシーツを取り込んでいると、デスモディウムの声が聴こえた。 「僕の正体を明かさなかったのは、賢明だったな」 「え?」  ドキリとして振り向くと、デスモディウムが物陰に立っていたので驚いた。 「わ! 吃驚した!」 「しー、そのままで」  ハギは、デスモディウムと話している姿を家から見られない様に、大きなシーツの影に隠れた。 「帰ったんだとばかり……」 「君ともう少し話したくて、戻ってきた」 「私と?」 「そうだ。いやあ、探した、探した」 「え?」  くだけた感じで接してきたので、ハギは意表を突かれた。 「ここを見つけるまで、ずいぶん手間が掛かったよ。この辺りでは、娘の存在を隠す家が多いんだな」  息子のいる家は、魚の形の吹き流しを軒先に掲げてまでその存在を自慢するが、娘の存在は隠されることが多い。  フーシもそうだ。娘の話を、外ではしない。  さぞかし、ここまでたどり着くのは大変だったろう。しかし、同情などしない。 「それでも、いくらか渡せば誰でも饒舌になる」  賄賂を求める住民たちに苛立ったのか、皮肉まで出てきた。 「何の用ですか?」 「君、金細工屋で黄金の鍵を売ろうとしただろ」 (ついに来た!) 「あれはどこにある?」 「え……、何の事です……か?」 「すべて包み隠さず正直に話せば、見逃してやる」 「……」
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