2.特官デスモディウム

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「これを、どこで手に入れた?」 「どこで見つけたとしても、見逃してくれますか?」 「ああ」  デスモディウムがいい人に思えてきたハギは、豪族の墓で見つけたことまで正直に打ち明けた。 「その豪族の名前は?」  埋葬された人の名前は、エンモとフーシが話しているのを小耳に挟んでいた。 「確か、『ホルベテ』でした」 「ホルベテ……」  デスモディウムは、額を軽く掻きながら思い出している。 「聞いたことのない名前だな。なぜ、そんなところにあったんだ?」  それは、ハギも知らない。 「棺桶を開けるとき、違和感がなかったか?」 「そういえば、蓋の釘打ちが甘かったかも……。少し浮いていて、簡単に引っこ抜けたので、誰かが先に開けたのかと思いました。でも、埋葬品がたくさん入っていたから、それ以上は深く考えず……」 「埋葬品も盗んだ?」 「あ……」  喋りすぎただろうかと心配になった。
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