2.特官デスモディウム

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「見逃してくれるって、言いましたよね」 「ああ。今回だけは、見逃そう」  ハギはホッとした。 「他の埋葬品は、どこにある?」 「フーシが持っていると思う」 「フーシに伝えてくれ。身辺に気を付けるようにと」 「どういう意味ですか?」 「フーシは狙われるかもしれない」 「誰に?」 「この鍵を盗んだ奴らから。これは、とても危険な鍵だ。君がもし誰かにこの鍵のことを聞かれたら、特官に奪われたと言うがいい。そして、特官に見張られているとも。自分に近づけば、同罪になるぞと脅せ。そうすれば、少しはマシだろう」 「ますます、わかりません」 「自分の身を守るため、僕を利用しろってこと」  デスモディウムは、軽くウインクすると、どこかにいなくなった。 「悪鬼って聞かされたけど、全然怖いところがなくて、むしろ、優しい人だった……」  ハギの心のどこかに、デスモディウムが棲みついた。  それからは、所かまわず彼の面影を無意識に求めてしまっている自分に気がつき苦しんだ。  文字の勉強も始めた。  古代文字以前に、今の文字も読めないようでは恥ずかしい。  ナローマの教科書を借りて、ナローマから文字を習った。
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