3.血塗られた予言

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「ハギを離せ!」 「ホレ!」  バイガルドが、ハギの体をデスモディウムに押し付けた。  ショックのあまり力の出ないハギは、うつろな目でされるがままに体を任せている。 「ハギ、大丈夫か?」  デスモディウムがハギに気を取られている隙に、バイガルドは逃げていった。  警官が数名、駆け付けた。  デスモディウムは、咄嗟に自分のマントの中にハギを覆い隠し、中で抱きしめた。 「そこで何をしている!」 「特官のデスモディウムだ」  警官たちは、慌てて敬礼した。 「これは失礼しました。特官殿、何かありましたか?」 「武装グループ『フォレスト』のメンバーで、殺人犯のバイガルドがいた。向こうへ逃げていったから、追いかけて捕まえろ」 「了解です!」  警官たちは、慌ててデスモディウムの指示した方向へ走っていった。 「ふう……。簡単に捕まるとは思えないが、遠ざけることはできたか。さて、この子をどうする……」  ハギは、デスモディウムの胸に気力なくもたれかかっている。 「デスモディウム……。さっきの話は本当なの? フーシのこと……」 「そのことについて詳しく説明したいが、ここでは人目もあるから場所を変えるか」  精神的ショックから立ち直るまで、ハギを休ませる必要がある。  足元がふらつくハギの体を支えて、歩いていたデスモディウムの前に小さな宿屋が現れた。 「あそこに入ろう」  デスモディウムとハギは、宿屋に入った。
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