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「ハギを離せ!」
「ホレ!」
バイガルドが、ハギの体をデスモディウムに押し付けた。
ショックのあまり力の出ないハギは、うつろな目でされるがままに体を任せている。
「ハギ、大丈夫か?」
デスモディウムがハギに気を取られている隙に、バイガルドは逃げていった。
警官が数名、駆け付けた。
デスモディウムは、咄嗟に自分のマントの中にハギを覆い隠し、中で抱きしめた。
「そこで何をしている!」
「特官のデスモディウムだ」
警官たちは、慌てて敬礼した。
「これは失礼しました。特官殿、何かありましたか?」
「武装グループ『フォレスト』のメンバーで、殺人犯のバイガルドがいた。向こうへ逃げていったから、追いかけて捕まえろ」
「了解です!」
警官たちは、慌ててデスモディウムの指示した方向へ走っていった。
「ふう……。簡単に捕まるとは思えないが、遠ざけることはできたか。さて、この子をどうする……」
ハギは、デスモディウムの胸に気力なくもたれかかっている。
「デスモディウム……。さっきの話は本当なの? フーシのこと……」
「そのことについて詳しく説明したいが、ここでは人目もあるから場所を変えるか」
精神的ショックから立ち直るまで、ハギを休ませる必要がある。
足元がふらつくハギの体を支えて、歩いていたデスモディウムの前に小さな宿屋が現れた。
「あそこに入ろう」
デスモディウムとハギは、宿屋に入った。
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