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ガチャガチャと牛乳瓶を大量に積んだ自転車でやってきた牛乳配達人が、目の前で繰り広げられる惨劇に吃驚して真っ青になった。
「アワアワアワ……」
リーダーが、牛乳配達人に気づいた。
「おい、殺されたくなかったら、今見たことは誰にも言うんじゃない」
「アワアワアワ……」
声も出せずに口から泡を吹いて、小刻みに頷いた。
「時間切れだ。引き上げるぞ」
生き残ったメンバーは、迎えの車に分乗して猛スピードで逃げた。
デスモディウムは、牛乳配達人が撃たれる前に助けようと小銃を構えていたが、それを下した。
「諦めて、逃げたようだな」
「よかった」
ハギもホッとした。
二人の後ろでは、宿屋の主人が身を屈めてブルブル震えている。
「なんだったんです? 今のは?」
「テロリストだ。このまま、警察に被害届を出してくれ」
「テロリスト!? なんで、宿屋が標的に?」
主人は、納得のいかない顔をしている。
やがて、通報により武装した警察が到着した。
デスモディウムは、青ざめているハギの手を引いた。
「私たちは場所を変えよう。ついておいで」
「どこへ?」
「ここよりは、安全なところ」
二人は、夜明けのアラリド砂漠を目指した。
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