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『…………レティシア……ッ!!』
伯父の書斎に駆け付けたときには、彼女はテオドールのそばにいた。
彼の腕の中には、あの愛らしかったレティシアはもういない。
あの艶々としたブロンドはどこにいったのか、今日もまたナイトドレスのまま。
床には伯父の護身用のピストルが転がっており、彼女の白いナイトドレスは真っ赤に染まっていた。
『……テオ、どうしよう』
正気に戻ったのか、震える彼女はやはりテオドールを選ぶんだ。
そう、彼の腕の中で、テオドールの名を口にする彼女に苛立ちを覚えながら、俺はただただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
君たちが決して結ばれない運命にあるとしても、君はやはりテオドールを選ぶんだね。
君に嫌われてでも、テオドールから奪っていれば、こんな最悪な結末にはならなかったのかもしれない。
俺が悪いんだ。
そう、なにもかも俺が。
***
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