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大人たちがバシバシと火花を散らしている中、花だけが嬉しそうにニコニコと笑っている。花束の甘いにおいをかぎながら「楽しいね」と嬉しそうだった。
「パパにも会えたし、パパの大切な人もステキな人だったし、花は幸せだわ」
男の人と関係を結んだ瑞生を軽蔑するかと思ったけれど花もそれをすんなりと受け止めてくれたらしい。パパが幸せならそれでいいんだよと言ってくれたことで今回の計画が実を結んだのだ。
善本の決めたレストランは評判のお店らしく、雰囲気も食事のレベルも最高に素晴らしかった。
和やかに食事をし、それぞれの近況を話す。善本はアートにも造詣が深いらしく、禄朗のことは昔から注目していたという。
「まさかご本人に会えるとは思っていなかったので、夢のようです」
「そうなんですか? 嬉しいな、ありがとうございます」
花はそんな大人たちを見守るようにニコニコと笑っている。
「花のことも聞かせて欲しいな」
瑞生が振ると花は学校でのことやお友達とのことなどをポツリポツリと話し出す。年ごろのきらびやかな女の子たちは一線を画しながらも、マイペースに花の世界を切り開いているようだった。
「好きな人とか彼氏とか、浮いた話は一回も聞いたことがないのよ」
明日美に言われると花は頬を赤らめた。
「好きな子はいるの」
「そう、花ってばずっと仲良しの女の子に夢中なのよね」
そう言われて一瞬表情を暗くする花を禄朗も瑞生も見逃さなかった。明日美は花のことを、まだ恋を知らない女の子だと思っているのかもしれない。
もしかしたらそうなのかもしれない。ただの中のいい友達。だけど花の心は花にしかわからない。
もし、この先、自分が女の子を好きになってしまったことに悩む時が来たらその時は瑞生が力になれる。
今まで何もしてあげれなかったけど、迷いができたときには全力で支えてやろう。
禄朗がテーブルの下で瑞生の手をキュと握った。
「その子にも会ってみたいな。いい子なんだろ?」
言うと花はパっと表情を明るくし、うん、と頷く。
「すごくいい子なの。パパも会ったらわかるわ」
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