2.いつもの音

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パンパン。 「ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー ハッピバースデーディアー…あーゆむー。ハッピバースデートゥーユー」 パチパチパチ。 「あゆむ。6歳のお誕生日おめでとう!」 「あゆむ、おめでとう!」 ママ、パパ、ありがとう。 「あっ!あと、メリークリスマス!」 「メリークリスマス!」 「南美(みなみ)のプレゼントも買ってあるから」 「えーうれしい。真ちゃんありがとう」 「わたしも買ってあるよ」 「おっ、嬉しい。ありがとう」 「うん」 サクサク。ゴク。 「うわ!これ美味しーな!」 「でしょー。白金で人気のパティシエだもん」 あまーい匂いが鼻をくすぐる。 「歩にも食べさせたいな」 「ほんとだね」 「歩ごめんね。お父さんとお母さんだけ美味しいケーキ食べて」 ううん、そんなことないよ。パパとママが来てくれるだけで、ぼくうれしいから。 いつもありがとう。 「・・・真ちゃん、いま・・・歩が笑った」 「えっ!?」 「えーっ、見てなかったの?」 「気のせいじゃないか?」 「気のせいかもしれないけど…そう見えたのよ」 「そっかぁ」 ママ、気のせいじゃないよ。ぼくうれしくて笑ったよ。 「いつも思うけど、歩は僕たちの声、聞こえてんのかな?」 「うーん・・・」     
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