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2.いつもの音
真っ暗闇の中、いつもの音が聞こえてきた。
コツコツコツ。
コツコツコツ。
カツカツカツ。
カツカツカツ。
歩はいつもの様に、音の鳴る方に意識を向ける。
ガチャ。
扉が開いた。
バタン!
「真ちゃん、間に合ってよかったわ」
「ハハ……今日のために前倒しで頑張ったからね、仕事。でも出遅れて、タクシーで来たよ。あせったー」
「えー? いくらかかったの?」
「えと・・・二千四百円くらい」
「贅沢~。まぁ今日はしょうがないか!」
少し埃っぽい匂いと柔らかい香りが、ふんわりと漂う。
「ねぇ、少し換気しない?」
「オッケー」
コツコツ。
シャー。
ガラガラガラ。
「さぶっ!」
空気が動く。
ガサガサガサ。
「おっ!なんか高そうな箱だね」
「30分並んで買ったのよー。買えてよかったー」
「わたしコーヒー淹れるから、コレ開けて」
「あっ、中崩さないようにね!」
「わかった」
ジョボジョボ。
コポコポコポ・・・。
コーヒーの香りが漂う。
ゴソゴソ。
パカ。
「そーっと出さないとな」
トクトクトク。
「コーヒーはいったわよ」
「こっちもオッケー」
「ローソクはまずいから、火は無しだね」
「クラッカーもないわよ」
「ハハ、そりゃそうだね。病院だし」
「それでは」
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