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先生と生徒、って関係がもうすぐ終わる。けど、先生と俺の関係はまだまだ続いていく。不思議な感じ。
「先生、忘年会楽しかった?」
「そこそこ楽しめましたよ」
「先生ってお酒飲むの?」
「嗜む程度に」
「今日、飲んでいいよ?」
「未成年の前では飲みません」
「じゃあ……じゃあさ、俺が二十歳になったら一緒に乾杯してくれる?」
「もちろん、楽しみにしていますよ」
言いながら、先生は俺を抱きしめた。
「……どんどん、レンは大人になっていくんですね」
「先生も大人じゃん」
「私が年を取るのとは違います」
「ね……先生って何歳?」
「今それを訊きますか?」
「うん」
「……幻滅するかもしれませんよ」
「しないよ」
「……」
「分かった。今日は、いい」
「ありがとうございます」
俺は頭を先生の胸にぐりぐり押し付けた。別に今、知る必要は無いか。どうせ戸籍とか取り寄せるときに分かるし。でもちょっと気になる。……もう三十超えてるのかな。若く見えるけど、先生。
そういえば、籍はいつ入れるんだろ……。大学の方を卒業してからかな……。夢が広がる。あ、そうだ……。
「先生、新居の住所教えて? 大学の書類に書かなきゃ」
「ええ、良いですよ。書類、持って来ていますか?」
「うん」
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