1

10/17
前へ
/216ページ
次へ
「……先生は、魂とか運命とか気にしないの?」 「どうでしょう?」 「質問にはちゃんと返してよ!」 「……さっきも言った通り、私は貴方のような子供にどうこうしようとする気はありません。それだけです」 「じ、じゃあ……もしも、俺が先生を振り向かせることが出来たら?」  それを聞いた先生は鼻で笑った。 「ええ、その時は是非、パートナーになってもらいましょうか」 「や、約束だからね! 大人なんだから約束はちゃんと守ってよ!?」 「はいはい。分かりましたから教室に戻りなさい。それだけ元気があれば大丈夫でしょう」  先生は俺のことを一度も見ずに言った。  俺は勢いよく保健室の扉を開けて外に出た。どん、と音が響くように乱暴にそれを閉める。  なんだって言うんだ!?  あんなに偉そうに……! 「待ってなよ。絶対夢中にさせてやる……!」  やっと見つけた運命は最悪だった。  けど、このまま負けてはいられない。いつか必ず、今日のことを後悔させてやるんだから……!  俺は強く決意し、教室へと足を進めた。  もう式が終わったのだろう。廊下にはざわざわと生徒の声が響いていた。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

938人が本棚に入れています
本棚に追加