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「先生は、俺のことを魂の番だって思います、か?」 「……ええ」  先生は俺から離れて、自分のデスクの椅子に腰掛けた。長い脚を組んで、俺に向き直って言う。 「このような感覚は初めてですので、正しいかどうかは分かりませんが」 「そ、それじゃあ……」 「落ち着いて下さい」  先生は俺の言葉を遮って言う。 「興奮するのも分かりますが、貴方はまだ未成年でしょう?」 「えっ? そ、そうですけど……」 「私は、子供に手を出すつもりはありません」 「け、けど! 今はもう十八歳で選挙権もあるし!」 「もう十八になったんですか?」 「……次の誕生日でだけど」  先生はまた溜息を吐いた。  なんだろう? せっかく魂の番に出会えたのに、全然嬉しそうじゃない。 「とにかく、初対面の人間と番う気は私にはありませんし、子供を相手にする気もありません。残念ですが、貴方の期待には応えられませんね」 「ま、待って。俺、まだ何も……」 「顔に書いてありますよ。嬉しい、って」  俺は腕で自分の顔を隠した。何なんだこの人!?  まるで、全てを見透かしたような言い方だ。気に食わない。  先生は、俺から目を離して、積まれていたプリントに目を通しながら言う。 「落ち着いたら教室に戻りなさい。もうフェロモンも出ていないみたいですし。これからは、自分をコントロール出来るよう努力することですね」  な、何その言い方!  俺は絶望しながらも、立ち上がった。
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