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声を荒げた俺に、ソウタが慌てて言う。
「その、僕が共感したのは、子供だからってところで……」
「子供だから馬鹿にしても許されるわけ?」
「そうじゃなくって、子供にその……手を出さない先生は偉いなって……」
ソウタは頬を赤くして言った。
「だって、番うって……そういうことするんでしょ? 僕たちまだ高校生なのに、そういうのは……まだ早いよ……」
「早い……?」
なんて優等生な言葉なんだろう。
いや、当たり前の話かもしれないけれど。
この様子じゃ、ソウタはまだ未経験なんだな。俺もだけど。
「……分かった。先生の言うことにも一理あるってことか……急に怒ってごめん」
「ううん。僕は大丈夫だけど……その。先生のこと嫌いになったら駄目だよ」
「嫌いに……」
あれ?
そもそも俺、先生のこと好きじゃないんだ。
ただ、魂とか運命とか、そういうので頭がいっぱいだった。
そもそも恋していないのに、そんな相手と番うなんて……考えただけで恐ろしい。そんなの全然幸せじゃない。
どんどん自分が冷静になってきた。先生は言い方はあれだけど、間違ったことは言ってなかった。あんなにムキになった自分が恥ずかしい。
「ああもう……最悪」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫じゃないー。もう帰りたい……」
「次のホームルームが終わったら帰れるよ」
笑顔でソウタが言った。
俺はそれに、曖昧に笑って答えた。
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