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 ホームルームが終わって、帰る支度をしているとスマートフォンが震えた。俺はメールの画面を覗く。別のクラスになった友人からだった。この後、遊んで帰らないか、という内容だったが、どうにもそんな気分にはなれない。俺は断りの文を打ち、スマートフォンを制服のポケットにしまった。 「ねえ、レンは歩き? 電車?」  ソウタが振り向いて訊いてきた。 「歩き」 「じゃあ、途中まで一緒に帰ろうよ」 「……いいよ」  ソウタは嬉しそうに笑った。笑顔が眩しい。  俺たちは喋りながら昇降口まで歩いた。 「僕ね、地元から出たこと無いんだ」 「ふうん。ここから歩いて近いの?」 「うん。十五分くらい」 「なにそれ、すぐ近所じゃん」 「うん。家から近いからこの学校にしたんだ」  この進学校に家から近いからという理由で入った奴を初めて知った。   「レンも歩きってことは近所? あれ? でも中学とか僕と違うよね? 引っ越してきたの?」 「ああ……うん」  首を傾げるソウタに俺は答える。 「俺、一人暮らしなんだよね」
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