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「それじゃあ、冬休みだからと言って気を抜かずに過ごすように!!」
「はーい!」
「よっしゃ! 早く行こーぜ!」
ざわざわと教室が湧く。ホームルームが終わって冬休みに突入だ。俺は伸びをして軽い鞄を肩に掛けた。
「それじゃ、レンまた三学期に」
「あ、待って。俺も今日は帰る」
「あれ? 良いの? 保健室」
「今日は先生、早めの忘年会だって」
「ああ……そういえば先生たち毎年バスでどっか行っちゃうよね」
久しぶりにソウタと並んで帰路につく。
昼前だけど外は寒い。俺はマフラーを巻いた首を震わせた。亀みたいだ。
「明後日だね、クリスマスイブ。やっぱりイブから会うの?」
「うん。泊まらせてもらう」
「いいなあ」
「ソウタは結局、彼女も彼氏も作らなかったね」
「うん……そういうのは大学までお預けかな」
「そっか。良い出会いがあると良いね」
「うん、ありがとう」
「……今度は俺が応援するから」
「えっ? 何か言った?」
「べ、別に何も! ほら、早く帰ろ!」
「あ、待ってよ!」
何だか照れ臭くなって、俺はポケットに手を突っ込んだまま早足になる。ソウタも慌てて横に並ぶ。あっという間に俺のアパートに着いた。
「それじゃ、良いクリスマスを!」
「うん。ありがと」
俺たちはそこで別れた。
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