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 クリスマスイブ当日。年越しも一緒に過ごそうという先生の言葉に甘えて、俺はいつもより多めの荷物で先生の車に乗り込んだ。  途中、コンビニでケーキとチキンを受け取って先生のマンションに向かう。窓の外から外を見たら、まだ昼間だというのに街路樹はきらきらと光ってクリスマスの準備を始めていた。仲良く手を繋いで歩く人もちらほら見える。来年の冬は、堂々と先生と手を繋いで歩けていると良いな……。  マンションに着いて部屋に入ると俺は驚いた。部屋の中は段ボールでいっぱいだったからだ。 「先生、どうしたのこれ……」 「ああ、引っ越しの準備ですよ」 「引っ越し……」 「もう、新居は決めてあるんです」 「早っ!」 「こういうのは早めにしないといけませんからね。レンも時間を見つけて準備をしておくんですよ。ああ、引っ越し業者なんかはこちらで手配しますので安心して下さい」 「……ありがと」  スーパーとかで段ボール貰えるよね。帰ったらさっそく荷物詰めよう。学校で使うものくらいしか荷物ってないけど……。  俺は抱えていたケーキの箱をテーブルの上に置いた。そして冷蔵庫を開ける。中身は相変わらずだった。開いているスペースにケーキの箱を入れると、ちょっとだけ冷蔵庫が華やいだ、気がする。 「チキンは温かいので冷めてからしまいましょう」 「そういうことは知ってるんだね」 「当たり前です」  段ボールに囲まれた部屋は、何となく落ち着かない。  ソファーに腰掛けると、隣に先生が座ってきた。俺はその肩に凭れる。 「もうすぐ卒業だね……」 「そうですね」
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