苦手な奴

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頭が痛い。 そして喉もカラカラだ。 私は目を瞑りながら、段々と意識を取り戻した。どうやら寝てたらしい…。 ぼんやりする意識から、記憶を辿っていた。 今日はサークルの打ち上げで皆んなと飲んでいた。まだ、飲み足りないとなって、確か木村の家が近くだったので7、8人くらいで二次会を木村の家ですることになった。 よりによって木村の家か…と思って私は帰ろうとしたが、半ば強制的に周りのメンバーに連れて来られていた。 私はもう飲むしかないなと思い、コンビニで買ったワインをひたすら飲んでいた。 やっと思考がまとまり、今私は木村の家に居ることを思い出した。 と同時に、急いで目を開けたが、「ひっ…!」目の前に顔があり息が止まりそうになった。 しかも相手の目とガッチリ合ってる。 今年見たホラー映画なんかより、怖く感じた。私は急いで飛び起きると、目が合った相手を見た。木村だった。 「…起きたんだ」 木村は、顔を近づけてたことなんて、なかったかのように言って起き上がった。 感情の読めないポーカーフェイスで。 「…うん。みんなは?」 だから、木村って苦手なんだよなーと思いながら周りを見渡した。 見るからに私しか居ない。 「…帰ったよ」 「え!?」 はぁ?帰った? 私は痛い頭を抱えた。お酒のせいなのか、この状況のせいなのかわからなかった。 確か皆んなこの辺りに住んでるって言ってたなーと思った。時計をふと見た。朝の4時だった。 始発まで後、1時間ちょっとか…。 「…寝ててごめん。私結構寝てた?」 「2時間くらい」 「皆んなはいつ帰ったの?」 「志津子が寝てから割とすぐに」 クソ…。ひどい。面倒くさくなって、置いていかれたパターンか。 それにしても木村は特に仲が良い訳ではないのに、名前で呼んでくる。 私は自分の名前が嫌いだ。 そして苦手な木村に、下の名前で呼び捨てにされるのはもっと嫌いだ。 「志津子、水飲む?」 「…うん。ありがとう」 ワインを飲みすぎたせいか、声は掠れていた。 木村が水を入れているのを待っていると、体に掛け布団が掛かっているのに気づいた。 きっと木村が掛けてくれたんだろう。
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