苦手な奴

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お互いの連絡先も知らないし、もちろん2人でも会ったことがない。 そして私は木村が苦手だ。 きっと相手にも苦手なのは伝わっていると思う。 そんな相手からまさか告白されるとは思ってもみなかった。しかもこんな雰囲気の中で。 「えーっと、ちょっと待って。この状況が理解出来ない」 とりあえず掴んでるこの手を離して欲しい。 「…志津子が俺のこと嫌いなのは知ってる」 意外と力強い目で見てきた。 「嫌いではないよ…ちょっと…苦手なだけ」 私は目線を逸らして答えた。 「…苦手なだけ、か」 木村は少し笑った。 え?そこ笑う所?と心の中で突っ込んだ。 やっぱり木村はわかんない。 「嫌いより全然いい」 「はぁ…そうなの…?」 「うん」 「……………」 「……………」 また、無言かよとイラついた。 木村と話してるとすぐ無言になるから嫌だ。 だけど少しして、木村の口が開いた。 「…志津子、今彼氏居ないんだよね?」 「…居ないけど…」 「じゃあ、付き合ってよ」 「いや、それとこれとは話しは別じゃん」 「なんで別?」 「なんでって…」 「好きな人も居ないんでしょ?」 「…………」 「じゃあ、俺と付き合ったって不都合はないよね?」 「だからそう言う話しじゃあなくて…」 「どう言う話し?」 クソ。木村のくせに質問ばっかりしてきあがる。本当にイライラしてきた。 ハッキリ言ってやる。 「タイプじゃないから!」 「……………」 「木村は私のタイプじゃない」 私の腕を掴んでいた木村の手が少し強くなった。
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