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ここで三十分待つのは辛いだろう。
他人と関わりたくはないが、でかい背中を丸めてブルブルしている男があまりに哀れで、仕方なく提案した。
「よかったら、うちで待ちます?」
「え……いいんですか?」
「別にいいですよ。ここ、ドアの外の音けっこう聞こえるから、うちにいても鍵屋さん来たら足音とかでわかると思いますし」
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」
真っ赤になった鼻をすんっと鳴らして入ってきた男は、部屋の大部分を占めるラックにずらりと並んだ映画のディスクを見て、「うわぁすごい!」と目を輝かせた。
「これ見たかったんですよ。あ、これも。前作すごいおもしろかったんで」
「ああ、あのどんでん返しは痛快でしたね」
「そうなんですよ! まさかあんな展開になるとは……うわ、やばい、思い出したらめっちゃ見たくなってきた」
「……よかったら、貸しますけど」
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