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「うわ~、外、すごい雨! もうびちゃびちゃ!」
彼が慌ただしく部屋に飛び込んできた。窓からストロボのような光が弾け、その濡れそぼった顔を照らす。
わざと傘をささなかったんだろ、おまえ。
「夕立は勘弁してほしいけど、一雨ごとに暑さが和らぐのはありがたいかな」
ぽたぽたと雫を滴らせて、よっこらせと隣の椅子に座る。
張り付いたシャツから透ける肌に、いまだに色っぽさを感じてしまう。
抱かないでくれと言い出したのは俺なのに。
おまえを拒んだ俺なのに。
ふわりと漂ってくる蒸れた肌の匂い。毎晩嗅いでいた匂い。吸い込むと、それだけで熱い記憶が蘇る。
男同士なんて初めてで、怖くて、一線を越えるのを躊躇った俺を、おまえは急かすことなく待ってくれた。ただ優しく抱きしめて眠ってくれた。その温かさに恐怖心が溶けて、受け入れることができた。
人と繋がったことを泣くほど嬉しいと思ったのは、あれが初めてだった。
ヤキモチやきのおまえが毎晩つけるマーキングを、叱りつつも内心喜んでいたなんて、おまえは知らないだろうな。
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