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うまく反応が返せないことに気づかれたくなくて、おまえを避けたのに。
一つ自由が減っていくたびに、距離を置こうとしたのに。
おまえはどうして、くしゃくしゃの笑顔で追いかけてくるんだ。
「愛してるよ」
腕よ、動け。
こいつを殴らせろ。
俺を嫌いにさせてやる。
強烈なショックで、俺のことを忘れさせてやる。
動けよ……!
この十年を、なんでもない話にしてやらないといけないんだ。
「……おばさんたち、俺たちのこと、知ってた。おまえの側にいてやってくれって、二人きりにしてくれた……」
頼むから。
「……なにを話そうかって、色々考えたけど、決められなくて、頭に浮かんだ童話を話しちゃったけど……本当は、もっと話したいこと、あるんだ。いっぱい、いっぱいあるんだ。……だからさ、頼むから、もっと時間をくれないか。
……やり直したいんだ。おまえの異変に気づいてやれなかったことを。全身の筋肉が動かなくなる病気があるなんて知らなくて、話しかけてもあんまり返事してくれないから不機嫌になってしまったことを。一緒に寝ることを拒まれたとき、カッとして投げつけた暴言を。……おまえが俺のことを考えて離れようとしたとき、嫌だ嫌だって泣いてすがりついたことを。
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