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あまり下らない事に"使いたく"はないが、仕方無い。
二度寝しない様に注意しながら、一瞬目を瞑る。
ーー『"DOLFiN" 起動』
私の意識の何処かにあるらしい、仮想マシンを起動する。
脳内に、簡易モデル化された部屋が浮かび、その中で対象となるデバイスが淡く浮かび上がった。
アナログ式の目覚まし時計は、電子機器と認識されないらしい。
その近くに置いてあるスマホが、検出される。
『表層同期、開始』
スマホに、意識の集中を向ける。
やがて、やや無機的な、女性の声を模した機械音声が、頭のなかで再生される。
『8月×日 月曜日
時刻: 8時32分
天気: 晴れ 気温…』
情報が、頭の中に流れ込んでくる。
「ああ…」
私はようやく、上体を起こした。
「遅刻だ」
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