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"DOLFiN"になった事で、私の人生は、良くも悪くも、大きく変わったと思う。
良かった事は、今まで何も持ってないと思っていた私に、特技や居場所ができた事だ。
政府の特別プログラムを受け、この能力を自在に行使できるようになった私は、特にIT企業や製造業などから熱烈な歓迎を受け、就職活動でも困る事は無かった。
今勤めているメーカーも、国内シェアトップの大企業だ。
しかしその代償と言えば良いのか。
"DOLFiN"としてしか、私を見てくれない人もいる。
例えば、今目の前で話している、この人。
「遅刻って、お前ふざけてんのか。
"DOLFiN"で遊んでたんじゃないの?深夜までさ」
体にフィットした細身のスーツを着て、椅子に踏ん反り返りながら、井矢波課長が言った。
異例の若さで管理職という功名の一方で、性格は威圧的。説教がひたすら長い。
陰でのあだ名は、イヤミな課長 だ。
「申し訳ありません」
しかし遅刻は私が悪いので、とりあえず謝っておく。
「朝礼、出ろよ」
「すみません。ただ、フレックス制なのに朝礼があるのは、違和感、といいますか」
黙っておけと理性では分かるのだが、ここで余計な口を挟んでしまうのが私だ 。
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