裏切り者と呪われし者

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裏切り者と呪われし者

 落ち葉のじゅうたんの上に一糸まとわぬ青年が横たわっている。小柄で細い体には生々しい傷跡やあざが目立つ。このまま放っておかれたなら、その肉体は土に還る運命を免れないだろう。彼の名はグロウという。  グロウは愛する妹を思い浮かべた。  こんな山の中でくたばってたまるか。僕が死んだら誰がルィスを救うんだ。  自らを鼓舞して立ち上がろうと試みるも、腕を動かすことさえ叶わない。まだ日は出ているものの、冷たい秋の風も容赦なく吹きつける。  ……誰か倒れ……。  朦朧とする意識の中で、グロウは男の声を聞いた。何人かの足音が近づいてくる。助けを求めようにも声すら出せない。  ……まだ生きて……。  グロウは誰かに抱きかかえられた。  助かった――。  彼の意識はそこで途切れた。
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