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目を覚ましたグロウは薄暗い部屋でベッドに寝かされていた。
目だけ動かして周囲を見ると、壁に掛けられたランプがごつごつした壁や天井を照らしている。部屋というよりは洞穴か何かのようだ。
「ぐっ……」
体を起こそうとすると痛みが走った。
「目が覚めたかい?」
男に呼びかけられた。人がいると思っていなかったグロウは驚きつつも、痛みを押して体を起こした。あちこちに包帯が巻いてあり、手当てしてもらったことに気がつく。服も貸してもらったようだ。朧げながら、自分が追い剥ぎに襲われ、誰かに助けられたことを思い出す。
「あの、ありがとうございます」
とにもかくにも、礼を述べた。
「うん。持ち直して良かった。丸一日寝込んでたからダメかと思ったよ」
言いながら、男はベッドの側に歩み寄った。穏やかな声同様、顔立ちも上品で賢そうに見える。厚手の上着を着ているので寒いのかもしれない。
「立てそう? 君が目を覚ましたらお頭のところへ連れていくことになってるんだ」
男の肩を借りてゆっくりと立ち上がる。上着を羽織らせてもらい、支えられながら部屋を出た。
部屋といってもドアなどの仕切りはなく、横穴が伸びているだけだった。グロウの想像どおりそこは洞窟の中のようで、あちこちに設置されたランプが狭い通路を照らしている。通路には柄の悪い男が何人もいて、グロウたちをじろじろと見つめていた。
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