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「僕は、〝愛〟がよく判らないんです・・・。貰って来なかったし誰にもあげたことがないから。
でも黒峰さんがくれるものを、返せたらって・・・いつも思ってます。
(あぁ、いつの間にこんなに〝好き〟になってたのかな・・・)」
それは、素直な気持ちだった。こんな真面目に生きるだけしか取り柄のない僕をこんな男女共に人気者であらゆる業界からオファーを受ける人がなぜ選んでくれたのかを未だに知り得ない。
それでもそんな人が自分にだけ向けてくれる情熱や易しさを返せたらと思う。
「玲。なにも返してくれようとしなくっていい。俺に、くれれば。」
「判りました。宜しく、お願いします。」
それが素直な答えだ。嫌じゃない。
こんな風に感情をぶつけられたことなんかない。いつも通り過ぎてゆくから。
「玲、大事に・・・抱くから。」
手を握られそう耳元で囁かれて現実味を帯びる。
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