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5/他愛もない雑談
「それにしても驚いたよ。仮装もだけど、フレムさんがハロウィンのお茶会に参加するなんて」
「そう?」
場が落ち着いたところで、ハロウィンならではの可愛いらしい菓子やケーキを摘まみながら、ラーリングが言ったので。昔の自分を知らない俺は、首を傾げて不思議そうに応えた。
「まぁこんな和やかなハロウィンも珍しいとは思うけどね。何時の時代だったか、特殊メイク施した一般人を叩き倒してたし」
ーーうそぉ。
「ハロウィンに合わせて、おどろおどろしい装飾やイベントなんかもあったりするから。仕事の時以外外に出ないって聞いたよ」
(あれから随分風習が変わりましたので、ハロウィンでも外に出歩くようにはなりましたけどね。昔の風習が残る田舎には頑として行きませんよ)
「そうなんだ」
まぁラーリングも結構な歳だし、鳳炎のテレパシーを聞く限りでは今も昔もホラー類は無理らしい。
「つまり、本来はもっと怖い雰囲気なんですか?」
「昔の風習が残ってるところは特にね。今は子供達がお菓子をねだってくるけど、昔は亡霊に扮した大人がお供えものの有無を確認してたんだよ」
「忘れとったりしたら、悪霊に悪さされるっちゅう噂やけどな。そうじゃのぉても、黄泉の世界に最も近付く影響かなんかで。マジもん出るらしいで」
「それは今でも?」
グレイの質問に答えたウォームに続いて、ストームが恐ろしい事を言ってくるので、俺は真っ青な顔で問うた。
すると、大半が苦笑した後に「まぁね」とか「たまにね」とか言ってくるから恐ろしい。
「フレムは、そう言うのダメなんだよね?」
「うん、無理。てか、ガチもん出たらどうすんの?」
魔法が使えるといっても、効果がなければ意味無いし、物理的な攻撃が効くとも思えない。
グレイの問いに、マイナス思考から俺が改善策を求めると、横からラーリングが余裕のコメントを言い放つ。
「大丈夫だよ。フレムさんの魔法なら、一発で影も形も残らないし」
ーーちょっと、待て。
それは逆に俺自身が怖いんですけどね。
ウォームと鳳炎が力強く頷いてるところからして、冗談で言ってる訳じゃないようだ。
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